Bread&Butterの頭文字をとってBBプレート。ご自宅でイギリスの田舎にあるようなティールームを再現しようと思ったら一つは持っておきたいアイテムですよね。でも、そもそもなぜブレッドプレートではなくて、ブレッド&バタープレートなのでしょう?
オックスフォード英語大辞典で「bread and butter」を引いてみると、この言い回しが初めて書物に登場したのはなんと1533年、トマスモアの著書なのだそうです。もしかしてこれはあの『ユートピア』(教養人ではなく、映画『Ever After』のファンな店主🍀)?と身を乗り出し、早速グーグルブックスさんにお伺いを立てたところ📗、「母親が息子に学校に持って行くためのブレッド&バターを渡す」というくだりが確かにございました。パンだけではダメなんです。バターも塗っていただかないと🤭
イギリス菓子好きの方であれば、何度となく遭遇したであろうビートン夫人の著書にも「ブレッド&バター」は頻繁に登場いたします。サンドイッチも元々はお肉のスライス(ハム類とか、お肉料理の残りとかでしょうか)をブレッド&バターで挟んだものだったそうですし、1880年版を覗いてみたところ、家族だけのティータイムの1週間の献立例がブレッド&バターのオンパレードでございました。もちろん、バリエーションはございます。白いブレッド&バターだったり、全粒粉のパンでしょうか茶色のものだったり。。。
ティーテーブル
By Isabella Beeton - https://en.wikisource.org/wiki/Page:Mrs_Beeton%27s_Book_of_Household_Management.djvu/1612, Public Domain, Link
イギリスの著名な紅茶専門家ジェーン・ペティグリュー女史も、ビートン夫人の特に「little tea(ささやかなお茶会)」のセッティングの箇所について自身の述作の中で触れてらっしゃいます。「そんなささやかで魅力的なお茶会は、小さなテーブルに、ロールしたブレッド&バター(ロールサンドの様なものでしょうか)、ビスケットとケーキを並べる、、、」のだそう。
ビートン夫人の言葉だけで十分BBプレートの存在価値は伝わってまいりますが、イギリスの食文化を専門とする歴史家さんも当たっておきましょう。ローラ・メイソン女史の著書によると、19世紀後半から20世紀半ばにかけて確立されてきたハイティーにはブレッド&バターが必ず登場していたそう。しかも、2、3種類は準備されていたらしいです。食パンであったり、ティーケーキやソフト系のパンの組み合わせたり、冬はクランペットも「ブレッド&バター」のメニューとしてお目見えしたのだとか。🥪🥯🍞💕
さらに、同時代のカントリーハウスなどのスティルルームで準備されるような上流階級のティータイムにはケーキやスコーン、マフィン、そして主役の一口サイズのサンドイッチなどがそれぞれ専用の器に盛られていたようですが、ここでもブレッド&バターありきなのでございます。
と、言うことでして、店主は、、、イギリスの食文化の主食は、パン、、、と!バター、つまりは『ブレッド&バター』であり、BBプレートはあって然るべきものという結論に至りました🎵 個人的には朝食やランチのワンプレートの器としても使っちゃいますけど、パンケーキも歴としたブレッド&バターですし、オープンサンドなどもそうですよね。皆様は他にどんな使い方をなさっていますか?
おまけ🍞&🧈
主にメルボルンでヴィンテージやアンティーク品を買い付けている店主の印象としては、「ブレッド&バタープレート」と聞くと、小さなパン皿(取り皿)の方を想像するのが一般人の認識かなと感じています。日本国外のオークションサイトを利用なさったり、旅先で骨董市などに赴かれる場合は、「タブ(tab:つまめる部分)ハンドル(持ち手)付きのケーキサービングプレート」もしくは、「ブレッド&バタートレイ」と説明なさると、BBプレートに辿り着きやすいかもしれません。
当ショップのBBプレートコレクションはこちらです。
参考文献:
Orme, N. (2003). Medieval Children. United Kingdom: Yale University Press.
Beeton's Every-day cookery and housekeeping book. (1890). United Kingdom: Ward, Lock and Company.
Mason, L. (2004). Food Culture in Great Britain. United States: Bloomsbury Publishing.
Mrs. Beeton's Book of Household Management/Chapter XLVII. (2019, November 26). In Wikisource . Retrieved 07:27, July 2, 2025, from https://en.wikisource.org/w/index.php?title=Mrs._Beeton%27s_Book_of_Household_Management/Chapter_XLVII&oldid=9728566
Tea Cultures of Europe: Heritage and Hospitality: Arts & Venues | Teaware & Samovars | Culinary & Ceremonies. (2024). Germany: De Gruyter.
Pettigrew, J. (2001). A social history of tea. Kiribati: National Trust.